金融消費者教育が緊急の課題となり、各界で議論されている。金融消費者教育はせんじつめればリスクを理解させることである。従って知識をただ網羅的に提示しただけでは金融消費者教育とはいえない。学校の講義、講座、啓発文書、インターネットのホームページ等の手段で、常にその知識がリスク管理に収斂するようなプログラムの組み立て方が必要だ。
金融消費者教育の先進国では、投資教育の試行錯誤を重ねてきたせいか、消費者教育イコールリスク教育ということが実にしっかりと認識されている。しかも、消費者教育を、取引ルールや規制・監督に実効性をもたせるためのツールと位置づけて、行政自ら積極的に取組んでいるのである。
例えば米証券取引委員会は、Ask
questions（「聞いてみよう」の意＜ホームページでも公開＞）という啓発文書で、金融商品を買う前にすべき質問を具体的に示している。わかりやすい言葉で表現されているが、その内容はディスクロージャー（情報公開）の極致とも言える厳しいものだ。英国で、公的立場から金融に関する消費者教育を推進しているFSA（金融サービス庁）もリスクをわかりやすく説明した啓発文書を出している。
規制の実効性を確かなものにするための消費者教育には、規制当局自ら積極的に取り組む必要があるのではないだろうか。日本版Ask
questionsを期待したい。
《「金融広報だより」(2002年
4月 N0.109)から》 |
Ask
questions（聞いてみよう）